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スピッツ「Holiday」は休日出勤の曲だった説。~スピッツ歌詞解釈~

更新日:2023年7月22日



みなさんこんにちは。八百屋テクテクです。

今回は、「Holiday」について解釈していこうと思います。

みなさんは、この曲をストーカーソングだと思っていませんか? ちまたではよくそう言われていますが、私の解釈は違います。

これは、「これまで安月給でもノホホンと幸せに暮らしていたけれど、君という大好きな人に出会ってしまい、結婚とかも視野にいれたいので、時間外労働で超過勤務手当を稼ぐことに精を出す男」という曲です。うっ……すみませんサラリーマン時代にサービス残業ばかりをしていた頃の記憶が刺激されて、動悸がしてしまいました。申し訳ございません。

もう、上記で全部解釈しきっちゃったような気もしますけれど、念のため、ひとつずつ見ていきましょうか…。



もしも君に会わなければ もう少しまともだったのに

もしも好きにならなければ 幸せに過ごせたのに

今までの「僕」の人生というのは、「仕事は金を稼ぐための、ただの手段だぜ」「趣味とかプライベートを充実させたいぜ」「残業なんてまっぴらごめんだぜ」みたいな感じで、考えていました。自分が食べていく分だけを稼いで、残りの時間を気ままに遊んで暮らしていました。

「君」に会う前までは、こういう「まとも」なことを考えながら、「幸せに過ごせ」ていたのです。



朝焼けの風に吹かれて あてもないのに

君を探そう このまま夕暮れまで

Holiday Holiday Holiday

最初にこの曲のタイトルが、なぜ「Holiday」なのかが疑問だったんです。たとえばこれがストーカーソングだったとしたら「Holiday」以外の日はストーカーしないんでしょうか? おかしいですよね。「僕」が仮にストーカーだったとしたら、平日にもしているはずです。にもかかわらず、なぜことさら、「Holiday」であることが強調されているのか……。

でもこれが「休日出勤」のことだとしたら、つじつまが合うのです。

「君との生活を想定するなら、今のままの給料じゃダメだ。もっと給料稼がなくちゃ...!」そんな「好き」のパワーが、休日の朝から晩まで働くことを誓わせます。君(を不自由させないための生活資金)を探そう、このまま夕暮れまで、というわけです。

「Holiday」が収録されているアルバム「隼」が発表された2000年当時は、まだまだモーレツ社員というのがいた時代です。その時代、当時絶大なる人気を誇っていたトップアイドル広末涼子の彼氏になるため、不眠不休で働く決意を表明した男子中高生は山ほどいました。お相手は別に広末涼子でなくても、好きな女の子のために死にもの狂いで働くというのは、当時の感覚としては普通だったのではないのでしょうか。「24時間戦えますか?」は、日本のビジネスマンの合言葉でした。不眠不休で働くことで、かわいい彼女に楽をさせてあげられる…。幸せにしてあげられる…。睡眠も必要ありません。死んだ後、いくらでも寝れます。誰もがそう、本気で考えていた時代がありました。

こんなふうに、「君」への情熱を「休日出勤」に傾けたというのが、この「Holiday」という曲なんじゃないかなと思うんです。



いつか こんな気持ち悪い人 やめようと思う僕でも

なぜか険しくなるほどに すごく元気になるのです

「気持ち悪い人」とは、どんな人なのでしょう? ストーカーソングとして解釈していたとしたら、「君」をストーカーしている犯罪者です。

「険しくなるほどにすごく元気になる」とは、君が嫌がっているのをみて興奮しているということになります。最悪ですよね。

いや、しかしながら、ストーカーソングとして捉えたとしても、この解釈は不自然なんですよね。ストーカーというのは、基本的には、相手の気持ちがまったくわからない人なのです。他人の気持ちが共感できないから、ストーカーになるのです。なので相手の気持ちによって、自分の気持ちが上下することはなく、相手が嫌がっているのをみて殊更に元気になる、なんてことはあり得ないのです。

ここでもやはり、辻褄を合わせるためには「休日出勤するモーレツ社員」説が生きてくるわけです。

「ふふふ…ここをもっとこうすれば、お客様に対する満足感があがるだろう…」なんて、気持ち悪いほどに仕事熱心な人、まわりにいませんか? そんな細かいこと、しなくてもいいじゃん、みたいなことにも目を配る人。こういう性格の上司だったら、部下はさぞ仕事がしにくいと思います。

そして、仕事が舞い込み過ぎてテンテコマイになるほど、元気になっちゃう人もいますよね。「やったぁ~! お客様が沢山だぁ~! 売ったるでぇ~! いらっしゃいませぇ~!」みたいな。すごく元気な人。上司だったら、部下はさぞ苦労します。

本当は、こんな仕事熱心な人やめようと思っていますが、やはり「君のために稼ぎたい」という欲求がムラムラと湧き上がってきて、抑えることができません。



この道は続く あみだをたどるように

君を探そう このまま夕暮れまで

Holiday Holiday Holiday

「あみだ」は、あみだくじのことです。つまり「この道」とは仕事道のことで、まっすぐな出世コースというのは存在せず、あみだくじのように紆余曲折しながら、がむしゃらに前に進むしかないということを言いたいわけです。

「休日出勤 休日出勤 休日出勤」と、楽しそうなところが救いです。仕事は、誰かに強制されると嫌で嫌でしょうがないものですが、みずから進んでやる分には、どんなに辛い仕事だろうが楽しく思えてくるものです。



心の扉を 痛みこらえ開けたよ

古い 暖かな部屋に君を呼ぶまで

この部分も、ストーカーソングとして解釈すると、辻褄があわない部分です。ストーカーしているうちは、「ストーカー楽しい」で完結してしまう話です。心の扉を痛みこらえ開けるというのは、何かジレンマがあって悩んだ末に進むという表現ですが、この意味を、みずからの欲望によってのみ行われるストーカー行為の、どこにも当てはめることはできません。

しかしここも「休日出勤」として捉えるなら、それほど悩まずに解釈できます。

「いままで僕は、働くことが苦痛で、お金をもらうための手段としか思っていなかったけれど、君に出会ったことで、もっと仕事に対して前向きになることができた。辛いことも多いし、仕事は嫌なことには変わりないけれど、それでも進まなくちゃいけないって、今では思っているよ」みたいな感じで、どうでしょう?

「古い暖かな部屋」は、休日出勤を含めた稼ぎで用意できるギリギリの範囲でしょう。都内の鉄筋中古マンション。2DKぐらいでしょうか。

実家ぐらしで、適当に仕事して、楽して人生を生きていくこともできたはずですが、君と出会ってしまったために、辛く厳しい道を選んだ「僕」



もしも君に会わなければ もう少しまともだったのに

最後は、こう締めくくられています。

休日の夕暮れ過ぎまで働いて、明日からまた平日がはじまるタイミング。そんな時ふと、仕事づくめの日々に虚しさが漂ってきた。そんな感じがします。

ちょっと「君」を責めているような言い方になっているあたり、不穏な感じもしなくもないですね。



いかがでしたでしょうか?

この解釈、無理がありますでしょうか?

一般的な解釈である「ストーカー説」と見比べる形で展開してみましたが、みなさんは、どう思われましたでしょうか?

定説を覆すような説を検証していくのも、とても楽しいですね!





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