こんにちは。八百屋テクテクです。
今回は、スピッツ「潮騒ちゃん」について解釈していきたいと思います。
これはたぶんですけど、何か前提となるモチーフがあって、それをなぞった詞なのだと思います。そのモチーフがなんなのかを知るべく、マサムネさんの発言とかを探してみましたけれども、全くわかりませんでした。
なので、それっぽいモチーフがないかな~と、歌詞を眺めながら色々探してみましたところ、思い当たるモノをひとつ発見しました。
それは、高橋留美子さん原作のラブコメディー「うる星やつら」です。
みなさん、「うる星やつら」って知ってますか?
このマンガにおいては、ラムちゃんという愛称の、鬼っ娘が一番有名だと思います。鬼っ娘と聞いて想像する、角が生えていて、虎柄のビキニを着用しているキャラクターです。鬼っ娘といえばラムちゃん、というぐらい造形が完成されていて、その後の漫画家やアニメキャラクターの参考にまでされてきました。
スピッツの「潮騒ちゃん」は、この、ラムちゃん、のことを指しているんじゃないかなと。どちらも、ちゃん付けになっています。
また、潮騒とは、波の騒ぎ立つ音、つまりウルサイ音のこと、と解釈できます。
これらを並べてみると、何となく近いものがあるのかな~、なんて想像しました。
あくまでも私の勝手な妄想ですけれども、ひとまず「潮騒ちゃん」=ラムちゃん、と想定して、歌詞を読み解いてみましょう。
偶然あったよツンツンは ときどき見せる笑顔がいい
逆転ゲームで行っちゃいたいのさ
潮騒 潮騒 潮騒ちゃん
潮騒 潮騒 潮騒ちゃん
うる星やつら、において、主人公とラムは偶然出会いました。「ツンツン」とは、頭に生えているツノのことかなと。
「ときどき見せる笑顔がいい」、とは、ラムには当てはまりません。どんなに主人公に嫌がられても、不屈の愛でくっついてこようとするからです。この性格はむしろ、ラムより先に主人公と交際していた、主人公の幼なじみ、三宅しのぶが当てはまるのかなと。
そして、物語が進むにつれて、主人公は三宅しのぶよりも、ラムのほうに心が惹かれていきます。これは「逆転ゲーム」と言えるんじゃないのでしょうか。
団体行動だったんで 周りの言葉でまどわされ
ばってん もう やめたったい こげなとこから
飛びたい 飛びたい 飛びたいな
飛びたい 飛びたい 飛びたいな
これは、「うる星やつら」を視聴しているマサムネさんの心境を表しているのではないのでしょうか。
マサムネさんを取り巻く環境といえば、「真面目に音楽やってます!」みたいな感じだと思います。ましてや、うん十年も日本の音楽業界をリードしてきたスピッツなら、なおさらプロフェッショナルとして振舞っていかなけばなりません。本人が望もうと望むまいと、そう、周りからそれを求められているのは確かだと思います。いかに自分をかっこよく見せるか、いかに女子にキャーキャー言われるよう、かっこよく振舞えるか、が大事な環境なのだと思います。音楽論がどうのこうの、音響がどうのこうの、といったことに、終始頭を悩ませていなければいけません。
こういう人たちの中で「団体行動」をしているせいで、マサムネさん自身も「俺は本来、音楽ひとすじのキャラだわ」と自分自身を誤認してしまっていました。
そんな中出会ったのが、「うる星やつら」のラムちゃんです。
「ばってん もう やめたったい こげなとこから 飛びたい 飛びたい」と言っているのは、マサムネさんの心の声だったのではないのでしょうか。「俺は今、音楽論とかどうでもいいから、ラムちゃんを見たいんだよ!」という心の声が聞こえるような気がします。
ちなみにラムちゃんは「~だっちゃ」という方言?を使っています。マサムネさんをして、出身地の博多弁をしゃべらせたのは、ラムちゃんの影響とみれなくもないと思います。
夢なら 覚めないで もう少し
同じ匂いの風 かいでいたい
きらめくファンシーな世界には 似合わねーって 茶化すなよ
この部分も、マサムネさん自身の話だと思います。「うる星やつら」の世界に浸っていたくて、ラムちゃんたちがワチャワチャしているのをみて胸をキュンキュンさせたくて、そう願っているのだと思います。
「もう少し同じ匂いの風かいでいたい」は、スピッツとしての仕事の打ち合わせの時間が迫っているのだと思います。スピッツとして仕事をするために、気持ちを切り替えて出かけなければいけません。でも、続きが気になりすぎて「もう1話見よっかな~」と迷っています。そういう時間なのだと思います。
こういうドタバタラブコメディーのようなファンシーな世界と、真面目青春路線のスピッツの世界観は、まったく合いません。なので、マサムネさんが「うる星やつらにハマってます」なんて言おうものなら、「似合わねー!」って茶化されると思います。
あんとき泣いてた幽霊も ビートに合わせて手を叩く
すったもんだで ラッキー候補さ
潮騒 潮騒 潮騒ちゃん
潮騒 潮騒 潮騒ちゃん
ここは「うる星やつら」本編の話かなと。幽霊は、中国では鬼とされています。鬼が出た、というと、それは幽霊のことを指します。泣いてると思ったら、すぐに楽しそうに笑っている、そんなラムちゃんを表しているのかなと。
そして、すったもんだで、主人公の彼女の座に収まっています。
半端にマニアな寒村で 初めてなめた蜜の味
知っちゃったんなら 頑張れそうです
ネバーダイ ネバーダイ ネバーダイです
ネバーダイ ネバーダイ ネバーダイです
ここは、マサムネさんの心境です。「半端にマニアな寒村」は、「うる星やつら」をはじめとした、美少女アニメの世界のことを表しているんじゃないかなと。アニメの中でも、美少女にスポットを当てた男性向けのアニメというのは、「あんなの、モテないオタクが見るものだ」と避けられていました。今では特に偏見なんてないかもしれませんが、当時「ラムちゃんが好きです」なんて大の大人が言おうものなら「えっ……」って女性に絶句されたものです。
マサムネさんは、モテる大人だったので、モテない男性オタクが視聴しているとされる美少女アニメを見る機会がありませんでした。でも、こわごわ、「うる星やつら」を視聴してみて、「おお……」と、その蜜の味に気が付いた、ということだと思うのです。
ラムちゃんを眺めたマサムネさんの感想は「ネバーダイです」だそうです。繊細で、今にも死にそうな曲とかを作ってきたマサムネさんでしたが、「うる星やつら」に出会い、ラムちゃんを眺めたことで、めっちゃ元気を貰っているようです。
偉大な何かがいるのなら
ひとまず 放っといて下さいませんか?
自力で古ぼけた船を 沖に出してみたいんです
「偉大な何か」とは、スピッツを含めた音楽業界人たちが築き上げた、かっこいいアーティスト像のことだと思います。
まわりは、マサムネさんに、アーティストに相応しく、かっこよくいてもらうことを要望します。でも、ラムちゃんにハマっているマサムネさんは、そんなステレオタイプを押し付けられることに、げんなりしています。「ミスチルさんとかさ、かっこよくて偉大なアーティスト、たくさんいるでしょ? なので、かっこいいアーティストがお好みでしたら、ミスチルさんのところに行ってもらって、ひとまず俺のことは、ほっといて下さませんか?」と、要望したいようです。
「自力で古ぼけた船を 沖に出してみたいんです」は、これは新しいマサムネさんの挑戦ともとれる部分です。今までは、「白線流し」のような青春純情ドラマの主題歌を担当してきましたが、「うる星やつら」のような美少女アニメに感銘を受けたマサムネさんは、もしかすると、「うる星やつら3」の製作が発表された際、「ラムちゃんの天真爛漫さをイメージした曲を作りましたので、使ってもらっていいですか?」と打診することがあるかもしれません。
という感じで解釈してみましたが、いかがでしたでしょうか?
もちろん、あくまでこれは私が、「潮騒ちゃん」の詞に目を通して浮かんだ妄想にすぎません。
でも近年「劇場版名探偵コナン」の主題歌「美しい鰭」を担当したように、スピッツはアニメの世界をも上手に表現できる力を有しているのです。
「青春ど真ん中の、爽やかな曲を作る人たち」というイメージをスピッツは持たれがちでしたけれども、もっと広い世界観を、彼らは有しているのです。
美少女アニメの主題歌に抜擢されたとしても、それもまた、新しいスピッツの形であると、私は思うのです。
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