こんにちは。八百屋テクテクです。
今回は、スピッツ「春夏ロケット」について解釈していきたいと思います。
この曲は、恋愛の曲というふうに捉えると、解釈が難しい曲だと思います。意味がよくわからない曲になると思います。なので、恋愛とは別に、なんとか楽に解釈できるような補助線がないかと探しましたところ、見つけました。ブログタイトルにもありますとおり、マサムネさんの親戚の子供の話として解釈すると、楽になります。
どういうことか。順番に見ていきましょう。
春 すっぱい思いが空に溶けてた
夏 赤い背中少し痛かった
どうもこの曲は、春と夏に焦点を当てた曲のようです。じゃあロケットってなんなのか、というと、これは親戚の子供を差しているんじゃないかなと。元気いっぱいで、そこらじゅうを走り回っているような、ちょっと生意気な男子、あるいは女子、これをロケットに例えているんじゃないかなと。
子供って、いきなりスイッチ入りますよね。ドカーンって。急に走り出したり、または急に不機嫌になったり、兄弟ケンカしたり、かと思えば、次の瞬間には一緒になって笑っている。大人になった今では考えられないくらい、エネルギーの塊です。
この子供が、この春、小学校あるいは中学校を卒業しました。クラスメイトとの別れ、あるいは大好きだった子との別れに、すっぱいような思いをしたと思います。
かと思えば、夏には海で猛烈にはしゃいで、日焼けで真っ赤になっていました。背中どころか、全身ヒリヒリだったと思います。
こういう、元気いっぱいの子供を、この詞は想定しているんじゃないかなと。
泣くマネ得意で終わらないドラマ
アイツ愛の言葉…何フザけてんだ
子供なので、おねだりが得意です。「あれ買って買って~ウエーン!」みたいな。詞全体がひとつの出来事を表しているのだとするなら、たぶんこの時の泣きマネは、「ギター買って~~!それもマサムネオジサンが使っているような、カッコイイやつ買って~!」って言いだしたのだと思います。
「ギター? お前、音楽に興味があったのか?」と親は驚きながら尋ねると、「うん、まぁ……」と動機については、口を濁しています。あとで親戚のオジサン的な立場のマサムネさんが、こっそり「ねえねえ、君、ギターに興味があるんだって? 本当?」と聞いてみると、子供は薄暗いような、照れたような顔をしながら言いました。「だって、ギターはモテるじゃん」と。
マサムネさんだって、ギターをはじめた少年時代には「ギターはモテる」という動機が少なからずあったに違いありませんが、ここでは保護者寄りの対応をしてしまいます。「本気で音楽をやるなら、俺がギターあげてもいいけどさ。でもそんな動機ではじめて、途中でやめたりしたら、ギターが勿体ないんだぞ。お金もかかるんだし、子供の遊び道具じゃないんだからね」
でも子供には、イマイチ、ピンときていません。「本気でやるよ。あれでしょ、だれ~も触れない~ふぅーたりだけの国~、とか。この歌いいよね、愛って感じで。愛だよ愛」
マサムネさんは、頭を抱えます。「何をフザけてんだ。お前が愛の言葉を使うなんざ、100年早いわ」と言いたくもなったでしょう。
こういう、親戚の子供と、それに振り回されるマサムネさん、みたいな構図が、この部分から見えてきます。
最後のニトロで飛ばせ
狂った火花で飛ばせ飛ばせ
この部分は、子供がギターを狂ったように演奏しているシーンじゃないかなと。そりゃあギターはじめたばかりの子供なので、格好だけで、なんの演奏にもなっていません。ただギターをもって暴れているだけ、という感じだったでしょう。
マサムネさんはこの様子を眺めながら、「まあ、元気なのはいいことだ」と、子供の気分を煽るような、応援するような態度でいます。「ほれほれ、飛ばせ、飛ばせ」と。
専門家ですから、アレコレと指示したくもなったでしょうけれども、そんなの言ってもしょうがないですからね。るろうに剣心における、弥彦の修行の際の緋村剣心だって、自分の飛天御剣流を教えませんでした。子供に習得させるのは早かったからです。子供は子供なりのやり方があります。そう思いながら、狂ったダンスを温かい目で眺めています。
地球ありふれた星のクズなら
安物の材料 すぐハミ出そうさ
ロケットが子供なら、それを生み出したのは地球です。地球は親でもあり、はたまた血統にも例えることができます。
「マサムネオジサンは、すごい才能持ってるよね。オジサンと血のつながりのある俺も、きっと才能あるに違いない!」と、鼻息を荒くしている子供。どうも、才能は血統で決まるものだという、浅い幻想を抱いているようです。
「ばかめ」と、マサムネオジサンは叱ります。「お前は何も知らないから、そういうことを言えるのだ。俺よりも才能があるやつなんて、星の数ほどいるわ。そういう高貴な才能の血を持つ人間からすれば、俺なんかクズみたいなもんだ。草野家は、俺みたいな才能のないヤツしか生まれないのさ。お前も草野家の安い血を引いてるなら、そういう幻想を持たない方がいい」と、諫めているようです。
楽してゴメンな みんな俺のせいだ
ピカピカ機体が 震えはじめた
子供は、ついつい怠惰な夢を見てしまいます。「あ~俺も音楽で食っていきて~。歌ってれば金が入ってくるなんて、楽じゃん。いいよなマサムネオジサンは。いつも楽でいいよなぁ」
子供の親はさすがに「いい加減にしろ!」と叱りました。こんな場面に遭遇してしまうと、マサムネさんは、立つ瀬がありません。「楽してゴメンな。楽そうに見えたのなら、みんな俺のせいだわ。お前がこうして楽ばっかりしてギターの練習もしないんじゃ、先はないわ」
どういう風に子供に言ったのかはわかりませんが、マサムネさんの言葉は、子供ながらに感じたことがあったのでしょう。目の前にいる天才が音楽で楽しているとは、本当は思っていなかったでしょう。だけどいつものようにふざけて、駄々をこねた挙句、ガツーンと怒られる結果になったのです。実に子供らしいエピソードだと思います。
ピカピカだった、子供のギターが、演奏のため震えはじめました。ちゃんと真面目に練習しよう、という気分になったようです。
とはいえ、やっぱり演奏スタイルは、「最後のニトロで飛ばせ 狂った火花で飛ばせ飛ばせ」みたいな感じになります。子供って、こういうものなのかもしれません。懲りずにめげずに、すごいエネルギーで突っ走っていく。大人はもともと子供だったはずなのに、驚いちゃうんですね。
という感じで解釈してみましたが、いかがでしたでしょうか?
マサムネさんが手掛ける歌詞は変化自在、縦横無尽だと思っていましたが、まさかここまで幅広く表現できるのかと驚きでした。まあ正直、ちゃんと合っているのかどうかなんてご本人でないとわからないのですが、こういう曲があるので、歌詞解釈は楽しいんですよね。
もちろん、他のまったく別の解釈もあると思いますし、たとえうまく解釈できなかったとしても、アナタの心の中に思い浮かんだ感情のまま解釈するのもいいと思います。スピッツの曲が、深く付き合っていく曲でありますように、アナタの人生を彩る曲でありますように、願っています。
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