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スピッツ「テクテク」は、八百屋テクテクの話だった説。



こんにちは。八百屋テクテクです。

今回は、とうとうスピッツ「テクテク」の解釈をやっていこうと思います。

ブログタイトルにありますとおり、「テクテク」は、八百屋テクテクのことだと思います。といっても、八百屋テクテクの創業より、スピッツ「テクテク」の発表のほうが先なので、別にスピッツが、この八百屋さんを参考にしたとか、そういう話ではもちろん、ありません。ただ、八百屋テクテクがこれまで歩んできた道が、不思議とこの詞の通りになっていったのです。名は体を表す、とは申しますが、いつの間にか、この詞と八百屋さんがリンクしていたのです。

これが可笑しくて、不思議で、つい、こういう内容のブログにしよう、と思いたったわけです。

今回は、ブログのテーマ上、ちょっと自分語りが多くなるかと思いますが、それでもいいよという方は、どうぞお付き合いくださいませ。


さて、みなさんは、「テクテク」って、どんな曲だと思いますか? 意味としてはなかなか難解ですが、妙に泣ける曲だという認識だと思います。私も、最初の最初はそうでした。「よくわからないけど、泣ける曲」という、詞の意味としては、そういう認識でいたのです。

八百屋テクテクを始める前から、私はこの曲がスピッツの曲の中で一番好きでした。今も変わらず好きです。テクテクの曲の感じが、私の曲の好みと一致していたのが、好きになったポイントとして大きかったと思います。背景は寂しげだけど、それでも前に進んでいく感じ。「テクテク」もそうですが、「聞かせてよ」「Y」「ランプ」「魚」「ローランダー、空へ」とか、めっちゃ好みなんです。

まあでも、それまでは「一番好きな曲」としての枠組みを越えなかった「テクテク」ですが、それから月日が流れて妻と出会い、結婚し、サラリーマンを辞めて独立することになりました。これまで専門職として野菜に携わってきた経験を生かして、八百屋さんをやろうと思ったのです。

私はクソ真面目な性格なので、開業の動機として「スピッツを絡めた八百屋さんにしよう」だなんて最初はみじんも思っていませんでした。名前も地名である「春江青果店」みたいな名前にして、いい野菜、果物だけを売ることだけに神経を注ごうと思っていたのです。「これまでの野菜の販売法では、野菜の美味しさを最大限に引き出せないという課題があったので、それをクリアした、一歩先の販売形式をとっていこう。みんなに福井の野菜の美味しさを知らしめていこう」という、意識高い系でいこうと思っていたのです。遊び心の幅を持たそうだなんて、全然考えていませんでした。

でも、妻は私の独走を静止してくれました。私は中身ばかりを重視して、外見がさっぱりだったのです。心は綺麗でいるつもりだけど、ボロボロの服を着て面接にいこうとする求職者みたいな感じでした。そのボロボロの私に、少しでもいい服を着せようとしてくれたのが、妻でした。八百屋さんをオシャレに着飾ってくれたり、キレイな写真を撮ってインスタに投稿してくれたり、いろんな気配りをしてくれたのは、妻でした。

八百屋テクテク、という名前にしよう、と思いついてくれたのも、妻でした。

どうせなら、アナタの一番好きな曲から、名前を拝借したらどう?

と言ってくれて、そのままお店の名前にしました。

ちなみに、お店の名前にスピッツの曲名を使おうと考えた時、私が考えたのは「梅干し、スッパイダー」とかでした。意味も通じるし、スピッツの曲名も使われていますけれども、私のセンスは絶望的だということが、これでよくわかると思います。

今の八百屋テクテクがあるのは、妻の存在がとても大きいと思います。

そんなこんなで開業した八百屋テクテクですが、現在は実店舗は閉店いたしまして、近隣の飲食店様、個人宅様への配送と、ネット通販の運営のみとなっております。

こんな八百屋テクテクと、スピッツ「テクテク」が、どうリンクしているのか。

詞を順に追ってみていきましょう。




当たりまえと思ってたら壊れてく

風を受けて水面が揺れた

かけらだって構わない 確実に

ここにあった それだけでいい

君のそばで 君のそばで

「君」は、八百屋テクテクという名前のお店です。そのそばにいるのは、八百屋テクテク店主です。なので、ここではみなさん、八百屋テクテク店主になったつもりで、この詞を読み解いてみてくださいませ。

この、八百屋テクテクという名前のお店は、福井県坂井市春江町にありましたが、コロナ禍の2020年11月に閉店しました。コロナ禍でお客さんが減った、というのもありましたが、そもそも、八百屋さんという業種が、福井において、将来的に継続が見込める業種ではなかったのです。自分では、まったく新しいことをしているつもりだったのですけれども、他の人の目には、従来どおりの八百屋さんとしか映りませんでした。このように見えてしまった、このように見せてしまったのが、私の失敗でした。八百屋さんとしての運命を、八百屋テクテクに従わせてしまったのです。

「野菜の良さを引き出す、ちゃんとした方法なら、野菜は売れるはず。みんなはわかってくれるはず!」と、私はそう思っていました。いいモノが評価されるのは当たり前だ、と考えていました。もちろん、評価はすごくよかったんです。ずっと通ってくれる常連さんもいましたし、お忙しい中、わざわざ訪ねてきてくれて、野菜を買ってくれる飲食店様もおりました。ただそれでも、家賃を払ってお店を継続していくには難しかったんです。

そんなこんなで、八百屋テクテクは「壊れて」しまいました。ただその影響は、ごくごく少なかったように思います。野菜や果物は、スーパーや直売所にいけばあります。世の中的には、まさに「風を受けて水面が揺れた」程度だったと思います。

ただ、八百屋テクテクは消滅したわけではありません。幸運なことに、今もこうして活動を続けることができています。「かけらだって構わない 確実に ここにあった それだけでいい」という状態です。ネットや配送での活動となると、誰の目にも届く実店舗と比べて規模が小さくなります。今の八百屋テクテクは「かけら」だと言えるでしょう。でも、かけらになった状態でも、確かに、このブログに存在しています。

私は、なおも、八百屋テクテクのすぐそばで、テクテクと歩んでいるのです。



ひとつの言葉からいくつもの声を聴き

誰にも知られることなく 抜け出せた

八百屋テクテクを始める前、「八百屋さんをやろうと思っている」と、知人たちに相談したとき、みんなに反対されました。「無理だ」「どうせ失敗する」「儲からないよ」「普通に働いてれば?」「八百屋やるぐらいならコンビニやれば?」などなど。「ひとつの言葉からいくつもの声を聴き」ました。

いちおうそれなりの「創業計画書」を作ってみたのですが、今思えば、ただ理想を並べただけの計画書になっていたと思います。そりゃあ、これが他人だったら私も「気持ちはわかるけど、やめとけば?」って言ってたと思います。私の話をきいた彼らすべてが、頑迷だったわけではありません。

ただ、この当時に考えていた、野菜や果物に関する問題意識は、いまだに私の中にあります。私の理想の種は、「誰にも知られること」のない暗い土の中にありましたが、「抜け出せた」、つまり芽を出して、八百屋テクテクという花を咲かせ、日の目を見ることができました。



同じこと二度とない 悲しいけど

さびしいけど 僕は歩いてく

雨の中を 日差しの中を

八百屋テクテクの実店舗を閉店させるとき、妻が私に言いました。「閉店させたら、もう二度と戻ってこれないからね」と。妻は、八百屋テクテクの半分を作り上げてくれましたので、それを言う権利があります。「ここで閉店したら、もうお店をやるのは諦めようね」と言いました。辛くて悲しいけれど、確かな言葉でした。

そうして実店舗は閉店しましたが、ネット販売と、飲食店様への配送業務は、いまだにやり続けています。私と、八百屋テクテクは、まだ歩いています。

「雨の中を 日差しの中を」の部分は、雨の日も、晴れの日も。と解釈したいところですが、雨と日差しは、野菜の成長に必要な要素です。その野菜を扱う、八百屋さんの営みのことを示しているのかもしれません。



少しの力で 初めての戸をあけて

不可能と決めつけてたのに 抜け出せた

ここは、私が八百屋テクテクにて行いたかった、新しい野菜販売の方法のことだと思っています。誰もやったことのない「初めての戸」を開けたのです。でもそれは、私ぐらいの青果経験者なら、「少しの力」があれば可能ですが、みんな「不可能」と決めつけているので、誰もやらないのです。

そんな状況の中、八百屋テクテクはスタートし、美味しい野菜を扱うことに成功しました。他のスーパーさんとかが陥っている状況から、「抜け出せた」のです。



優しすぎる君のメール 読み返してる

また会えるよ またいつの日か

特別って呼びたい もう迷わない

ふりむきつつ 僕は歩いてく

雨の中を 日差しの中を 闇の中を 思い出の中を

八百屋テクテクには、「優しすぎる君のメール」が沢山届いています。八百屋テクテクを利用してくれたネットショップのレビューもそうですけれども、普段やりとりしている個人宅様や飲食店様からも、「野菜がとても美味しかった」とか「あのおすすめしてくれた果物がもう一度欲しい」とか、嬉しいメールをいただきます。このメールをいただくのが、八百屋テクテクの存在意義だと思っています。このメールを頂くために、頑張っているようなものです。

同時に、実店舗の閉店を惜しむ声も頂戴しております。直にお会いしたことのある方はもちろん、SNSで繋がってくれているみなさんも、そうお声をかけてくださいます。

実店舗として存在していた、あの妻が一生懸命手掛けてくれた、八百屋テクテクに思いを馳せています。「また会えるよ またいつの日か」と願いつつ、あの八百屋さんは特別だったと思いつつ、「ふりむきつつ 僕は歩いてく」のです。

「雨の中を 日差しの中を 闇の中を 思い出の中を」歩いていきたいと思います。




という感じで解釈してみましたが、いかがでしたでしょうか?

スピッツ「テクテク」は、お店の名前に付けるぐらい、本当に思い入れのある曲なのです。なので、いつにも増して気合が入ってしまった項目だと自分でも思っています。ので、その気合が空回りして、あまりうまく伝えられていないかもしれません。私は大事な局面になると、いつも実力を発揮できないタイプなのです…。

でも、いくら詞のテクテクが好きだからといって、詞のテクテクのように、実店舗にも悲しい運命を背負わせなくてもいいじゃないか、と個人的には思っちゃいます…。もしテクテクが明るく希望に溢れる曲だったら、実店舗の運命も違ったものになっていたんじゃないか…だなんて、そんな妄想もしたことがあります。

でも、私は、この詞テクテクが好きなのです。それは、テクテクを初めて聴いてから、ずっと変わらないでいます。

同時に、八百屋さんとしての方針もまた、変わらずにいこうと思っています。だって、八百屋テクテクは、詞テクテクとリンクしているのですから。「雨の中を 日差しの中を 闇の中を 思い出の中を」テクテク歩いていくのが、八百屋テクテクなのですから。




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