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スピッツ「さらさら」は、被災者を保護している話だった説。~スピッツ歌詞解釈~




こんにちは。八百屋テクテクです。

今回は、スピッツ「さらさら」について解釈していこうと思います。

この詞は、ブログタイトルにありますとおり、津波被害者をマサムネさんが保護している詞なんじゃないかなと。より詳しく言えば、この詞が発表される前に東日本大震災があり、津波による甚大な被害がありましたが、その時のことを表現した詞なんじゃないかなと。

まず、タイトルの「さらさら」ですが、これは水が流れる音を表しています。でも津波のような、強い流れではありません。この曲は、津波のことではあるけれども、津波のことではない。そういう、苦しい心の中を表したような、そんなタイトルになっているのではないのでしょうか。

じゃあ、津波被災者を保護しているとは、どういうことなのか。順番に見ていきましょう。




素直になりたくて言葉を探す

何かあるようで何もなくて

雨の音だけが 部屋をうめていく

部屋の中に、マサムネさんと、誰かもう一人いるという状態から、この詞はスタートしています。お互い、何もしゃべらないでいます。

でも、マサムネさんは、どうにか話しかけたいと思っています。何か適切な言葉がないかと探していますが、「何かあるようで何もない」と、何も話題を思いつかないでいます。とても空気が重い感じです。

空気の重い原因は、「君」の状態にあります。この女性は、辛くて胸が張り裂けそうなのです。

この女性こそ、先の震災で被災した女性であると、私は考えます。そして、この女性の友人知人の中には、まだ見つかっていない方もいるようです。女性はマサムネさんに保護されていることに感謝をしつつも、なおも家族の無事を願っている、という感じです。

女性にとっては、いつまでもマサムネさんに甘えているわけにはいきません。住む家を見つけて、仕事を見つけて、その合間に家族を探さなければいけません。ほかに被災された方がたと同じように、誰の力も頼らずに、自分で解決しなければならない、と、そういうふうに焦っています。



だから眠りにつくまで そばにいて欲しいだけさ

見てない時は自由でいい

まだ続くと信じてる 朝が来るって信じてる

悲しみは忘れないまま

「眠りにつくまで」とは、女性が眠りにつくまで、です。また、見てない時というのは、「震災のニュースを見ていない時」というふうに解釈しました。

つまり、「どうしても必要な情報以外は、見なくていいよ。繰り返しの情報になるし、気がめいってしまうからね。だから、ニュースを見るのは必要最小限にして、あとは自由にしているのがいいんじゃないかな。自由にして、眠くなったら寝て、それ以外は、僕のそばにいて、何かお話しようよ。僕が、そうして欲しいからさ」と、言いたいんじゃないかなと。

自分がなんとなしなくちゃ、と焦る女性に対して、できるかぎりのことをしてあげたい、というマサムネさんの繊細な心遣いが見える場面だと思います。

「朝が来るって信じている」は、たとえ悲しみは消えることはないにしても、未来に希望があることを信じている部分かなと。

このバランス加減が、絶望の淵に立っている女性にとっては、必要なことだったんじゃないかなと。ただの能天気な希望では無神経だし、ただの絶望では暗くなる一方です。悲しみはありつつも、希望を待つ。この姿勢が詞に表れています。



的外ればかりまた謝って

ゆがんでいることに甘えながら

君の指先の 冷たさを想う

謝っているのは、女性です。「いつも迷惑かけちゃって、すみません…」と、マサムネさんに謝っています。これをマサムネさんは「的外れだよ」と慰めています。

「甘えているのは、僕のほうこそだよ。君がいてくれているおかげで、助かってるんだ。いつまでもいてくれていいから。故郷も気になるだろうから、無理に引き留めてしまうのは、ルール上、歪んだ考えなのかもしれないけれども…」と、返答しています。

そう返答したのも、彼女の指先の冷たさを思い出したからです。いつか触れた指先と同じくらい、彼女の心は冷えたままだと、マサムネさんは感じ取っています。



いつも気にしていたいんだ 永遠なんてないから

少しでも楽しくなって

遠く知らない街から 手紙が届くような

ときめきを作れたらなあ

「永遠なんてない」とは、どういう意味になるのでしょう? 「永遠に続く幸せなんてない」という意味なら、不幸の意味になりますし、「永遠に続く不幸なんてない」という意味なら、前向きの意味になります。この場合は、後者でしょう。いい意味になるように使っているはずです。また、「少しでも楽しくなって」と、この後続いていますから、やはりこの女性の幸せを願っている部分だと思います。

知らない街とは、この女性の大切な人や友人が暮らしていた街のことでしょう。かつ、その街は今回の震災で、壊滅的な被害を被ってしまい、この大切な人たちの安否が不明な状態だったとしたら、この街からの手紙は、女性にとっては吉報のはずです。

この吉報を、女性のもとに届けるには、どうしたらいいでしょう? まずは手紙を書く人が無事に生存していて、手紙を書いてもらう必要があります。そのためには、手紙を書く人に、女性はこちらにいますと伝える必要があります。さて、マサムネさんの知らない人に、この情報を伝えるには、どうしたらいいのでしょう?

マサムネさんが女性に代わって、関係各所に連絡を取り合っている場面が、「ときめきを作れたらなあ」の部分なのだと思います。どうにか、この女性に、ときめきという、生きる希望を持ってもらいたい。なので、いろいろ手配をしている部分なのだと思います。



ゴリゴリ力でつぶされそうで 身体を水に作り変えていく

魚の君を泳がせ 湖へ 湖へ

優しい光が僕らに射して 巧妙な罠を抜け出したんだ

夢オチじゃないお話 100度目の答えなら 正解 正解

この部分は、マサムネさんの得意領域です。アーティストとして、想像の中で身体を自由に変化させ、過去には魚になったり、鳥になったりしています。このやり方を、女性にレクチャーしている場面です。

「重圧でつぶされてしまいそうなら、いっそ身体を水に作り変えてしまえばいいんだ。そうすれば、するりするりと抜けられるでしょう?」と。こんな感じで、現実世界では解決しようがなくなった心の置き所を、空想の世界に求めることで、心の負担を軽くしようと試みています。

「想像の中で、魚になって泳いでみる感覚に浸るのがいいよ。魚は、人間みたいなしがらみがないからね。人間社会って、巧妙な罠がどんなところにも張り巡らされているけれど、魚なら、それらを潜り抜けられると思う。僕は、いつもそうやって、広い湖まで泳いでいくんだ」という感じで。

そんな話を聞かされた女性は、その日の夜、夢をみました。魚になった夢です。泳いでいった先で、知人を発見しました。暗いはずの水の底には優しい光が指していて、同じように魚になった知人たちが、自分に会いに来ている夢です。

その話をきいたマサムネさんは、「そういうのもアリじゃないかな」と肯定します。

「現実世界では会うことが難しい人でも、幻想の世界では簡単に会うことができるからね。幻想の世界で、彼らが何度も会いに来てくれるなら、それが彼らの、君に対する想いなんだと思う。それが正解なんだと思う」



眠りにつくまで そばにいて欲しいだけさ

結び目はほどけそうでも

まだ続くと信じてる 朝が来るって信じてる

悲しみは忘れないまま

1つめのサビでは、「だから」が入っています。1つめのサビの頃は、女性は絶望の底に沈んでいたので、危なっかしくて、マサムネさんの手の届く範囲にいさせようとして、「だから」と言っています。

でも、女性が魚の夢を見たと話をした頃から、もう自由にさせている感じです。「まあ僕としてはそばにいてほしいけれど、自由でいいよ」みたいな感じです。マサムネさんが作った「結び目」はほどけそうになっています。




という感じで解釈してみましたが、いかがでしょうか?

解釈のために、結構補助線を引いてしまいましたが、ちゃんと解釈できているでしょうか?

個人的には、震災がテーマの解釈はまあまあ怖いです。間違った解釈は、あまり許されないような気がします。一方で、テーマとしてしっかり扱うことができていて、なおかつ、いい詞だと思うので、もっと認知され、浸透していてもいいんじゃないかという気持ちにもなります。この詞で救われる人が、もっと多くいたんじゃないかなと。

でも、隠れているからこそ、優れているということもありますよね。「なにかわからないけれど、感動した」っていう類の感動。そういうのが大事なこともあります。

歌詞解釈がされようが、されていまいが、ずっしり伝わる想いは一緒だと思います。とてもいい曲だと思います。



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